減圧症予防講座|シミュレーターで体内窒素を見てみよう

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減圧症予防 シミュレーターで見る体内窒素

減圧症予防 シミュレーターで見る体内窒素

 

シミュレーターを使うと分かりやすいです。

こーんにーちはー!

伊豆高原ダイビングスクール渋谷店の佐藤です!

代表佐藤です。

代表佐藤です。

今回は普段のダイビングで体にたまる窒素の溜まり方をイメージして頂くための講習です。

 

はじめに減圧症予防の3大要素についてのご案内。

結果全部これに当てはまるでしょ!という話。結果論からスタートです。

減圧症予防の3大要素

  1. 体内にため込む窒素量
  2. 浮上速度
  3. 体質

これです。減圧症にはこれらの要素が必ず絡んできて発症します。減圧症予防に非常に大事なファクターです。

それでは一つずつご説明をしていきたいと思います。

1.体内にため込む窒素量

ダイビングをすると体に窒素がたまる。そして、溜まった窒素が多すぎると浮上をしてきたときに窒素の排出が間に合わず減圧症を発症する恐れがあります。

まず、ダイビング中に体に窒素が溜るのは皆さん周知の事実です。

この溜る窒素の量が問題です。どの程度が安全なのかを理解できるようになると安全潜水の計画を立てられるようになります。

この話の後半にどの様に体に窒素が溜っていくのかをグラフで表します。皆様のご参考になれば幸いです!

 

2.浮上速度

まず、浮上速度についてはいろいろな見方があります。と前説をしておきましょう。

極端な例を2つ紹介します。

 

例えば、KAZU1の事故で有名になった飽和潜水の話。

水深100mで飽和状態になるまで体に窒素をため込んだとしましょう。

そして、水深100mで長時間の作業をしたき、体内に溜まる窒素量がこれ以上たまらない状態になることを飽和と言います。

 

水深100mでの窒素量が飽和したときの浮上時間を調べてみました。次の通りです。

適切な浮上時間(浮上に5日間※WIKIPEDIAより)を掛ければ減圧症にならずに浮上してくることができます。

 

逆に短いダイビングの話で、水深30mのダイビングを6分間してしてトラブルが起きました。

その後、急浮上をした場合に減圧症の発症例があるそうです。

つまり、実施したダイビングの状況に応じた浮上速度を取れば減圧症予防が出来ると言う話です。

 

3.体質

これは、非常に難しい話でエビデンスも出にくい所です。

シンプルに話すと体内窒素を効率よく排出できる血流があるといいね。減圧症予防に効果テキメンみたいな話です。

普段からの運動習慣や当日の体調や行動に至るまで減圧症になりやすい2次的要素の排除なども含まれます。

これに関してはまた別の機会にお話をしていきます。

減圧症予防

減圧症予防

次に体にどんな感じで窒素が溜まるの?

体内窒素のコンパートメントについて:減圧症予防


次に減圧症:窒素を知るためにコンパートメントについてちょっとだけご説明いたします。

なぜなら、OWの講習ではコンパートメントについては習いません。

まずは現在の減圧症予防の考え方を学んでいきましょう!

難しい横文字(コンパートメント)を出来るだけわかりやすく説明します。

 

次の表を見てください。

窒素が体の何処に、どの位溜まっているのか?わかるようになっております。

シミュレーターでの計算なので仮想の範囲を脱しませんがイメージしやすいと思います。

減圧症予防2

コンパートメント説明1

緑の縦グラフが体の何処に窒素が何パーセント溜まっているかを表しております。

このグラフで見ると

  • 血液に33%程度の窒素が溜っている
  • 脳・脊椎・神経系の部分に最大で95%の窒素が溜っている
  • 皮膚・筋肉に最大71%の窒素が溜っている
  • 内耳では最大54%の窒素が溜っている
  • 骨・関節付近んには37%の窒素が溜っている

コンパートメントが体の何処に分類するかを参照した資料はコチラ>>>

グラフの縦は地上での体内の窒素飽和度を100%とした場合の割合です。

 

水深が深い所では100%を超えて体内窒素が溜る場合もあります。

つまり、水中で体内窒素飽和度が100%を超えても、減圧症は発症しませんが

そのまま浮上してくるとほぼ確実に減圧症を発症するということになります。

 

コンパートメントを理解する上でのポイント!

まず、窒素の溜まりやすさ=窒素は排出しやすい。

加えて、血流の多い組織=窒素は溜まりやすく排出しやすい。

 

つまり、呼吸で体内に取り込まれた窒素は肺から血管に入って全身に送り出されます。

血流の多い組織には窒素が早く運ばれていきます。

 

逆に、骨や関節のような部分には運ばれる窒素が少ないく、窒素が溜まってしまっても浮上後に窒素が運び出されるのが遅くなる。

と言うことです。

 

減圧症になる窒素量の境目ってどのくらい?:減圧症予防


つづきまて、皆さんの興味が一番ありそうな部分です。

前項でもお話している通り減圧症は

  • 体内にため込む窒素量
  • 浮上速度
  • 体質

が直接関係するとお話ししました。

この、体質という部分がいちばん不確定要素として大きく作用しますので一概にラインはここです。

とは言えません。

ただ、統計を見ていくと大体のラインは分かってきますのでそれをお話していこうと思います。

 

TUSAのダイブコンピューターを作った方として有名な今村先生の授業では

浮上時に各コンパートメントを80%以内で上がってきて、浮上速度を守れば、ほぼ減圧症(一般的なダイビングにおいて)にならない。

とあります。

 

次にはどんなダイビングがダイビング中に体内窒素量が80%にならないのか?を見てきましょう。

 

ダイビングにどの位の窒素が溜る?:減圧症予防


ここでは、イメージが付きやすいように極端なダイビングを見てみましょう。

 

はじめに、水深14mで40分のダイビングをシミュレーターでみてみましょう。

減圧症予防:シミュレーター

14mで40分

平均水深14mと仮定してみていると窒素の溜まり具合の1番高い所でも71%までしか溜まっていません。

この状態で浮上を開始すれば浮上速度を9m/毎分とした場合2分掛からず浮上できます。さらに5mに3分の安全停止をすれば

窒素の溜まり具合の早い組織は、さらに窒素の量は減っていきます。

安全なダイビングと言って良いのではないでしょうか?

 

次に、水深15mで40分のダイビングをシミュレーターみてみましょう。

水深15mで40分のダイビング

シミュレーター:減圧症予防

15mで40分

水深14mで40分の時と比べると70%以上まで溜まっているところも増えてきているのが分かります。

たった1mの水深の差ですが、窒素の溜まり具合はハッキリ違いが出ているのが分かります。

つまり、1mの平均水深の違いが窒素の溜まり具合に大きな影響を与えるというのが上の2つの表で分かります。

 

窒素の溜まり具合は最大でも75%です。

同じく9m/毎分のスピードで浮上水深5mで3分の安全停止を実施すれば、問題ないレベルのダイビングであると思います。

 

さて、次に行きましょう!水深が16mです。

16mで40分

16mで40分

水深16mで40分は危険ライン?

ここからはちょっと気にしていきたいラインです。

ダイビング中ですが体内窒素の量が81%まで上がっている部分が有ります。

ただ、安全停止と浮上速度を守ればまだ大丈夫かな?というラインになってきます。

 

しかし、私たちはチキンレースをしている訳ではないです。ギリギリ大丈夫のラインを探すより

安心してダイビングが出来る所で楽しんで行きたいですよね。

 

余談ですが、現在水深16mで40分のダイビングをしている状態で、無限圧限界時間は19分残っています。

水深16mでノーデコタイムが19分

  • まだ大丈夫もう少し潜っていようと思いますか?
  • もう上がらないと!って思いますか?

潜水時間を決めずにダイブコンピュータをみて潜っている方は普段のダイビングでどう行動していますか?思い返してみましょう!!

 

次に60分の長いダイビングをした場合をシミュレーターでみてみましょう。

減圧症予防:ロングダイビングの危険性を考える。窒素量をシミュレーターで見る


 

減圧症予防5

14mで60分

それでは先ほどの水深でロングダイビングをした場合どれだけ体内窒素量が変化するか見てみましょう。

まず、14mで60分の表でをみてみると~!80%を超える窒素量が3カ所もあります。

窒素の溜まりにくい方の組織が1番、窒素量が高くなっています。

 

この辺の組織は5m3分程度の安全停止をしてもさほど窒素量が減りにくい部分です。

その窒素の減り具合を見てみましょう。

 

安全停止を3分取った状態です。

左から5番目の先ほど88%だった窒素の溜まり具合が86%になりました。

安全に浮上出来るのが80%以下と考えるとまだ高い状態です。さらに安全停止を伸ばしてみましょう。

減圧症予防の観点からはまだ危ない状態ですね。

減圧症予防

14m60分安全停止3分

 

それでは安全停止を10分続けました。

左から5番目以外の窒素量は80%を切りました。

注目の5番目はいまだに82%の窒素量です。まだ少し高い状態ですね。

減圧症予防3

14mで60分で安全停止10分

 

お待たせしすぎたかもしれません。

安全停止を14分でようやく80%まで下がります。

減圧症予防4

14mで60分安全停止14分

 

結論、

中深度(15m前後)でのダイビングはコンパートメントで言うと中間層の窒素が高くなりやすい傾向が有ります。

窒素排出のゆるやかな中間層の組織、排出の遅い組織は安全停止では窒素量を減らしにくいということが分かります。

 

次に参考程度ですが、15mと16mでのロングダイビングのシミュレートです

 

水深15m60分のロングダイビング

減圧症予防15

15mで60分

窒素量かなり高いのが分かります。

水深15mでノーデコタイムが7分あります。まだあと5分粘る。という方いませんか?

 

水深16mで60分のロングダイビング|窒素量をシミュレート

実はデコが出るのがこのレベルのダイビングです。

しかし、この状態でデコが出たとして、安全停止を初めても

デコは消えます。しかし安全圏とされる体内窒素80%まで落としてから浮上というのは現実的ではないですね。

16mで60分

16mで60分

レクリエーショナルダイビングでデコを出すようなダイビングがどれだけ危険性があるのか少しでも伝われば幸いです。

 

伊豆高原ダイビングスクール渋谷店では定期的に減圧症予防の勉強会を実施しております。

知識の更新、安全意識の向上にご活用ください。

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次にちょっと、おまけです。

最後までお付き合いありがとうございます。:減圧症予防


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