このセッションではディープダイビングに潜むリスク、危険性を学びます。高気圧化で人体に及ぼす影響や障害、症状や徴候について説明します。忘れてはならない最も大切なことは何かが起きてからの対処法ではなく予防であると理解してください。
ダイビングはルールを守ればリスクは少ないレジャーです。ルールの再確認とディープダイビングのライセンス講習で勉強する内容の予習復習にご利用ください。
ゴール:ディープダイビングのリスクを知り、対処法を考えられるようになります。
ディープダイビングのリスク もくじ
- 呼吸ガスの成分によるリスク
- 減圧症になりやすいリスクファクター
ダルトンの法則
呼吸ガスの成分がリスクなる要因の法則です。基本的なことなのでもう一度確認しましょう。
簡単に説明すると
空気は、
陸上0mでは 酸素20%+窒素80%=100%
水深10mでは 酸素40%+窒素160%=200%
という感じです。
水深30mでは 酸素80%+窒素320%=400%
高圧のかかる水中では陸上ではあり得ない酸素の濃度、窒素の濃度になります。
呼吸ガスの成分濃度が高くなりすぎるといろいろ人間の体に不都合が生じるようになります。
これらの呼吸ガスに含まれる成分が高濃度になるとどうなるか?見ていきましょう。
窒素(窒素酔い、麻酔作用)
高気圧での窒素には麻酔作用があります。
症状が出るのは個人差や当日の体調にもよります。
体調不良や寝不足で普段より浅い水深で発症する場合があります。
窒素の割合が
180%で一部の人に窒素酔いの症状が出始める
240%ですべての人に窒素酔いが発症し始める
以降窒素の割合が多くなれば多く程麻酔作用は強くなります。
窒素酔いの特徴、対処法
高圧力下でしか作用が出がない。窒素酔いが出た場合は症状が消える浅い水深まで移動すれば窒素酔いはなくなる。
窒素酔いの症状
・体のしびれ(店長佐藤は比較的初期の自覚症状で舌がしびれます。)
・ボーっとする。認識感覚や頭の回転が鈍い判断ミスの原因
・視覚狭窄、視界の両サイドが見えているのに認識できない。比較的後半の症状
などなど麻酔作用なので感覚が鈍くなる感じの症状が出る
二酸化炭素
普段のダイビングではあまり出る症状ではないですがタンク内にエアーを詰める際に誤って多くの2酸化炭素が入っていると水中での圧力下では二酸化炭素濃度も高くなるので症状が出やすくなる。
症状は強制で運動させられているような症状が出ます。
・初期:呼吸が深く回数が増える→息苦しさ
・中期:心拍数の増加→不安感が増加
・後期:息切れ、発汗、極度の疲れ→トラブル原因になります
そのほか二酸化炭素は水中での運動量でも体内に蓄積されて減圧症のリスクファクター、酸素中毒の原因となります。
対象方法
・水中での運動量を上げすぎない。
・水中でのスキップ呼吸や無理な呼吸方法をしない
・タンク業者は信頼できる所を利用する。
ダイビング後の頭痛も二酸化炭素過多の原因の場合がります。
一酸化中毒
一酸化炭素は血中のへモグロビンと結びつきが酸素よりも強く、1酸化炭素を吸入した状態では体内で酸素が運ばれにくくなり、酸素を吸入しても血中に酸素供給がされなくなり酸欠状態になります。
症状は頭痛や意識相があります。
あまり一般的には起こりにくいトラブルです。
タバコで少量の一酸化炭素の吸引があります。タバコを吸う方はダイビングの直前の喫煙は控えましょう。
酸素(酸素中毒)
酸素は人体にとって必要なものですが、逆に酸素量が多くなると有害な作用が起きます.
酸素分圧は1気圧下では約20%ですが、水深40mになると分圧は約100%となり、地上で純酸素を呼吸しているのとほとんど同じ状態が生じてしまいます。長時間その状態でいると過大な酸素は組織に傷害を起こしたり、脳の血管を収させて血流を減らしたり、肺の炎症性化を起こすこともあります
酸素中毒
- 呼吸困難
- 吐き気
- 喉のイライラ感
- 顔面蒼白
- めまい
※混合ガス潜水や酸素中毒については、ナイトロックスコースで詳しく説明します
ヘンリーの法則
水と空気に圧力を掛けると空気の成分がが水に飽和するまで溶け込む
弱に、圧力で溶けていた空気は圧力が解放されると水から排出される
これをダイバーの体に当てはめると、呼吸で取り込んだ空気内の窒素が水圧の増加とともに体内に溶け込む
浮上により圧力が減少してくると窒素が排出されていく、排出スピードが早くなりすぎると体内に窒素の気泡が出来る。
これが減圧症の容易になります。
マイクロバブル
減圧症が発症するような窒素の泡よりももっと小さな泡。マイクロバブルはほぼすべてのダイビングの体内に形成されますが、これがげんあつしょうの直接原因とはならない。マイクロバブルが循環を妨げる体内部位もあります
マイクロバルブが気泡の核となり泡の発生する場合がある。大きな泡になると血管を詰まらせ減圧症の要因となる。
通常のマイクロバブルであれば自然と肺から排出されていく
減圧症の病型と症状
減圧症になりやすい原因
パディやグループで一緒にダイピングをしたのに、1人だけ減圧症にかかってしまうことがあります。これには様々
な原因が考えられます。以下の要因などを参考にして下さい
脂肪
脂肪は水りも約1.6倍のスピードで室素が溶け込みます。そのため脂肪が多い人ほど減圧症にかかりやすいことにな
ります
アルコールの摂取
アルコールの摂取により一般的に体温は上がりますが、体内でアルコールを分解するために体内の水分が使われます
血液濃度が濃くなることで、排出可能室素量が減少されるため減圧症への誘発につながります
体温の低下
体温が低下することで体温保持のため血管収縮→血液循環が悪くなり、室素排出を遅らせます
体温の急激な上昇
発汗作用によって、水分を放出するので良くありません
温度上昇は溶存可能素量を低下させます。熱いシャワーにも注意して下さい。
激しい運動
体内の気泡形成を促進させます。コーラの瓶を振ることと同様です。
歩行程度の運動なら影響ありません。きつい服装や、窮屈な姿勢も血流の妨げになります
タバコ
へモグロピンの酸素運搬能力を低下させるために、窒素排出の能力を低下させます。
飛行機搭乗・高所移動
高所に移動すると大気圧が低下して体内の窒素の排出が早まり減圧症発症のリスクがあがる
睡眠不足・体調不良・普段の運動不足
いずれも、血液の循環が悪くなります。日ごろの体調管理から気を配りましょう。
体調がいい、健康的な生活は減圧症予防に最適です
ダイピング後は適度な水分補給をして、保温を取り、ゆったりと過ごすことを心が
けましょう。
減圧症の発病
減圧症の大部分はダイピング後、あまり時間がたたないうちに発生します。
経過時間別の発病率は30分以内に約75%、1時間以内に約80%、2時間以内に約90%、6時間以上はわずか約3%程度しかありません。12時間以上たってからの体の痛みなどは、他の原因であると思われます。
発病するまでの潜伏時間と、減圧症の症状や重症度との関係性は認められていません。
また、ダイピング場所より帰宅する時は、飛行機に乗ることに注意するのはもちろんですが、山道等の高所を通って帰宅するときも、十分に減圧時間を取ってから移動して下さい。
移動中に減圧症が発生した症例があります。
※現在では、ダイピング後の高所移動は200mを超えないよう注意しています。
飛行機搭乗についても24時間以上経過してから、深いダイビングが連日続いた場合には30時間以上の待機を推奨
- 2本以上潜るダイビングでは先に深場、そのあとに浅いところを潜る
- 水面休憩時間は1.5時間程度取りましょう
- リスクファクターを可能な限り少なくして潜ろう
- 怪しいと思ったらとりあえず酸素吸入で応急処置、異常があったら再圧施設のある病院へ